てほぬかのブログ

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映画「エクスペリメント」ネタバレ感想

概要

 アメリカで行われた「スタンフォード監獄実験」という心理学の実験がベースとなっている映画です。ドイツ映画「es」をハリウッドでリメイクしたものとなっています。監督は「プリズン・ブレイク」シリーズで製作指揮・脚本を担当したT・シュアリングが務めています。

あらすじ

 高報酬であることを理由に24人の男たちが刑務所を模した場所での心理学実験に参加します。男たちは監視者によって看守と囚人に分けられ、2週間決められたルールに従って過ごすことになります。無事に実験を終えることができたのでしょうか…

感想

 真面目そうに見える人が一番闇を抱えているパターンは怖いですね。普通の実社会では嫌なことがあっても自分を制御して生きていけるのでしょうが、好き放題できる権力を手に入れたら平気で非人道的なことをしそうです。
それにしても、看守のリーダーであるバリスの言動は腹が立ちましたね。主に2つの点で。

まず1つは、囚人に罰を与えることが許されるのを確認してから積極的に意見を出し始めた点です。罰を与えてもいいことが確認できているので自分はリスクを負うことなく囚人をいじめられます。二番煎じ、パイオニアの後追いって楽ですよね。まあ、僕も何かで1番になれているわけじゃないので人のこと言えないですけど。

もう1つは、権力に付けあがって気持ちよくなっていたところです。自分は特に何もしてないのに、役職や立場がそうというだけで横柄な態度を取る人いますよね。あれすごく嫌いです。よくあるところだと、「客だから」とか「先輩だから」とか。そのくらいのステータスでしか威張れない人はかわいそうですよね。「社長」とかで威張るならまだわかりますが…

あと、よくあんな非人道的なことができたなと思いましたね。この感情は恐怖に近い感情です。看守と囚人という役職が与えられただけでそんなに人を傷つけられるのかと。もちろん映画なので誇張された表現もあると思いますが、実際のスタンフォード監獄実験でも人権を侵すようなことは行われていたようですね。
その状況に置かれてみないとわからないことの方が多そうです。

 

考察

 非常に単純な考察ですが、この映画のテーマは「権力(理不尽)への反抗」だと思っています。
主人公のトラヴィスは常に理不尽な看守の命令に反抗していました。服役歴がある男に看守への服従を促された後も戦い続けました。トラヴィスが抵抗をやめ、あきらめていれば、さらなる屈辱を与えられていたことでしょう。
序盤に彼女が「あなたの拳は汚れていない」と言っていました。ラストシーンでは傷ついた拳にキスするのみでした。その時のトラヴィスのやるせない表情から、拳は汚れてしまったが人としての尊厳を守るために仕方なかった。彼女もそれを理解しているように感じました。

最初に出てきた映像は同種の争いが多く、時折肉食動物が草食動物を狩っていることから、人間同士で強い者が弱い者を喰らうという物語の展開を暗示しているものだと考えます。

ラストシーンがインドのヴァラナーシーというところにも何か意味がありそうですが、ヒンドゥー教や仏教に詳しくないので考察できないのが悔しいところです。

 

総評

 物語的には最後囚人側が反乱を起こして実験が終わるというのは予想通りだったので驚きなどはなかったですね。でも、人間には置かれた状況で何をするかわからないという怖さが学べた映画でした。長いものに巻かれない勇気の大切さもわかる映画でしたね。