てほぬかのブログ

基本的に映画の感想を残していきます

映画「ブレインゲーム」感想 ~慰めとは何か~

 予知能力を持つ医学博士と連続殺人犯の対決を描いたスリラー映画です。博士役を「アンソニー・ポプキンス」が、犯人役を「コリン・ファレル」が演じ、「アフォンソ・ボイアルチ」監督が指揮を執っています。原題は「Solace」、慰める・慰めになるものといった意味があります。R15指定が入っているおかげか、生々しいシーンがいくつかあります。

 

※以下の内容にはネタバレを含みます※

 

 序盤からジョンの予知による伏線がたくさん張られていき、後半にテンポよくその伏線が回収されていったので退屈せずに最後まで鑑賞できました。予知能力があるという設定なので映像が過去や未来に飛んでいきます。シーンの断片をちらちらと見せ、最後にその意味が分かるという構成はとても好きです。

 

 物語と関係ないところでいうと、ジョンを演じている「アンソニー・ポプキンス」の表情が見所です。不愛想であまり表情を変えないジョンが時折見せる笑顔と犯人と会話しているときの何とも言えない表情が印象的でした。

 チャールズが映像でカウルズ捜査官に語り掛けるシーンでは、映像なのにも関わらず目線をカウルズに向けて話しかけているのは細かいところでチャールズの能力の高さを表しているなと感じました。

 

 余談ですが、予知能力の優劣ってどこでつくんでしょうね?何手先まで見通せるか、なのかより早く結末を導くか、なのかはたまたほかに能力の優劣をつける要素が何かあるのか。結末を導く早さで優劣が決まるというのが僕の中では有力です。ジョンの予知能力がチャールズより劣っているというのも自然に納得できますし。

作中、ジョンは予知能力のことを「並外れて鋭い勘」と表現していましたが、現実でもあのように未来が見えたり過去が見えたりすることもあるのでしょうか。経験や知識から少し先の未来が予測できる、みたいなことは現実でもたまにありますが、その能力の延長だとするなら使ってみたい能力ですよね。

 

 さて、ここからは僕なりの考察です。

 殺人犯のチャールズは安楽死を与えるためにその能力を使っていましたが、最後にはジョンに打たれて死ぬという未来を選択しました。ジョンより優れた予知能力を持っているにもかかわらず。
この理由として僕が出した答えは

自分も将来病気などで苦しむ未来が見えていたから

だと思います。「続けられないんだ」「俺を撃つもう1つの理由もわかるはず」といった言葉から推察しました。

 自分は苦痛を感じる前に誰かによって殺されてしまいたい。チャールズはそう考えているため、ほかの病気で苦しむだろう人々を即死によって解放してあげようという行動に出たのだと感じました。彼なりの正義だったのかもしれません。

 

 原題にあるように、病気などで苦しむ人にとって死は「慰め」となるのかといった問題が提起されているように感じました。安楽死は人によって賛否が分かれる問題だと思います。こうゆう問題に対する現時点での僕の考えは、個人の意思を尊重するべきだと思ってます。それに尽きると思います。